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2018年4月12日木曜日

フィンガーペダル(Finger Pedal)について

昨日《▼フィンガーペダルを試してみる♪→ソルフェジエット》の記事で、C.P.E.バッハの「ソルフェジエット」に「フィンガーペダル」を試した話を書いた。

その続きで「フィンガーペダル」のことをもう少し調べてみた。

クープランやバッハの時代の鍵盤楽器の奏法の話や、楽譜の書き方との関連などもあってなかなか面白かった。以下、私なりに簡単にまとめておく。ご参考まで…♪


 🎼チェンバロの奏法・楽譜


まず、基本的な話として、チェンバロの(現代ピアノがない)時代には「フィンガーペダル」は当然の技術であった。チェンバロにはペダルがないため、フィンガーペダルや指の置き換えなどによりレガートを表現しなければならなかった訳である。

フランソワ・クープランなどフランスの作曲家は、フィンガーペダルを忠実に楽譜に表現している。例えば、クラヴサン曲集 第2巻 第6組曲の第5曲「神秘的なバリケード」(↓)などをみると、その辺りのことがよく分かる。




🎼バッハの記譜法


ドイツの作曲家は必ずしもフィンガーペダルを忠実に楽譜に書いていないようだ。

例えば、J.S.バッハのパルティータ第1番の最初のメヌエットの冒頭(↓)は単旋律のように書かれているが、これは2つの声部に分かれていると解釈して、一番上の旋律に対してフィンガーペダルを用いるような弾き方になると思われる。



しかし、楽譜上できちんと書き分けられている場合もある。

例えば、パルティータ第6番のトッカータの85小節目〜はフィンガーペダルで弾く通りに書かれているが、これと同じフレーズが23小節目の低音部では単旋律音形で書かれている。



🎼現代ピアノでのフィンガーペダル


前回ご紹介した動画(↓)と、

🎦Finger Pedalling in Bach and the Classical composers

同じくグラハム・フィッチ先生のサイト "Practicing the Piano" にある関連する記事(↓)から、フィンガーペダル奏法に関する内容を簡単にまとめておく。

✏️On Touch (Part One)

✏️Pedalling by Hand


  • フィンガーペダルは独立した一つ技術(奏法)であり、「タッチ」の一つ(レガーティッシモよりさらに音を重ねる)とも考えられる
  • ホールドする(長めに押しておく)音の選択やその長さは音楽的な観点と、楽器やホールの響きなどから慎重に決める必要がある
  • 左手のアルベルティバスなどのハーモニー効果を狙う場合、ベース音の保持が基本で、欲しい厚みによって同時に押さえる音を増やしていく(不協和になる音は保持しないのが原則)
  • 複数の音をホールドする場合、押さえる順番で指を順次上げていく(一斉に上げるようなことはしない)
  • 右手の場合、旋律となる音を保持することが多いが、同じようなパターンはベースラインを強調するような場合には左手にも登場することがある


🎼参考:現代ピアノで弾くバッハ


調べている中で、ちょっと面白い論文を見つけた。田中宏明氏(藤女子大学)の論文(↓)で「ペダル使用法の可能性を探る」という副題がついている。

✏️現代のピアノで弾くバッハのクラヴィーア作品


この中の最初の章「クラヴィーア作品における楽器選択の可能性」に、

バッハの作品は、どの楽器のために書かれたのか全てを断定するのはむずかしいが、中には明確に想 定できるものがある。パイプオルガン、チェンバロ、クラヴィコードの3つの作風に分類できる

と書いてある。実際に、平均律クラヴィーア曲集 第2巻の各曲を分類したものが記載してあるのが興味深い。また、

フリードリヒ・グルダはピアノの CD 録音においてこの可能性を、とり わけペダリングによって明確に示している

…と書いてある。


 そして、第2章が「クラヴィーア作品の現代ピアノへの適用」というタイトルで、ペダルによって表現にどういう変化をつけるかが書いてある。

その中に「音を持続させるフィンガーペダル」という一節があって、これも参考になった。上の パルティータ第6番 トッカータの譜例はここから引用させて頂いた。


 最後に、平均律クラヴィーア曲集第1巻ハ長調前奏曲について考察したもの(↓)があり、フィンガーペダルをいろいろ試すには適した曲かもしれないと思った。




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《▼フィンガーペダルを試してみる♪→ソルフェジエット》

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