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2018年4月6日金曜日

エフゲニー・ザラフィアンツ:詩情あふれるピアノの音 ♪

《2018年来日ピアニスト14+1人のチェック(未知の…)》を進めているが、今日は大物の掘り出し物に当たったかもしれない。といっても、無知な私が知らなかっただけ…(^^;)。

ロシア出身のエフゲニー・ザラフィアンツ(Evgeny Zarafiants、1959〜)というピアニストで、実は「来日」というのは違っているかもしれない。

最新のものと思われるプロフィールでは「2015年4月から愛知県立芸術大学のピアノ科客員教授 … 現在の活動の拠点は日本 …」となっているので…。


そのプロフィールが掲載されているのは次の記事。今月26日のリサイタルの案内。

✏️日本モーツァルト協会 2018年第598回例会(2018/4/26)


エフゲニー・ザラフィアンツは1975年にグネーシン音楽学校に入るが、そこでの「不本意な出来事」(落書き?)によって、当時のソ連「当局」から冷遇されてしまう。

世界的に認められる契機となったのが、1993年のポゴレリッチ国際ソロ・ピアノコンクールでの第2位入賞。

その後、住居をクロアチア共和国に移し、ミルコヴィッチアカデミー教授、ザグレブ国立音楽院講師を経て、ドイツや日本を中心として演奏活動を行う

1997年に初来日以来、日本には度々きており「2017年11月には来日20周年記念リサイタルを東京文化会館小ホール等で行っている」とのこと。

そして現在は「愛知県立芸術大学のピアノ科客員教授」として「活動の拠点は日本」ということになっているらしい。ちなみに日本語を始めたくさんの言語に堪能のようだ。


まず、YouTube の音源をいくつか聴いてみた。


Chopin Nocturne No8 op.27-2 piano Zarafiants
 ↓
最初はよくある「ショパン」かと思っていたのだが、なんだか雰囲気がいい。基本的にはメロディーを際立たせて歌うショパンなのだが、左手の醸し出す空気感がとてもいいのと、弱音部分でのメロディーの音が美しい。


 Scriabin 5 Preludes Op.15 - No.1 in A major
 ↓
ピアノの音が素晴しく美しく響く。曲のせいもあるのだろうが、静かな詩情がピアノで紡ぎ出されている感じ ♪ 1番から5番まで聴いたが、どれもいい。


 Scarlatti Sonata K67 L32 Evgeny Zarafiants
 ↓
スカルラッティのソナタも何曲かあったのでいくつか聴いてみた。タッチ感も音色も私の好みにあっている。ただ、もう少し遊び心?のようなものがあってもいいかなと思った。


このあと、NAXOS にたくさんの CD があったので色々聴いてみたのだが、先に全体的な感想を書いておく。

基本的には、正統派(オーセンティック)ピアニズムみたいなことを感じた。どの作曲家の作品にもまっすぐに取り組んでいて、変な「ひねり」とか「小手先の技」を加えていない印象だ。

といって四角四面の生真面目な演奏かというと、まったくその逆で、音楽に自然な流れがあるし、自由に歌っている感じが伝わってくる。

そして何と言ってもその「ピアノの音」に惹きつけられるものがある。「音色」とか物理的な「響き」を超えたものを感じる。あるときは静謐な詩情だったり、あるときは感情が音に乗ってほとばしるような…。

こういう言い方はあまり好きではない(得意ではない)のだが、「心(魂)を込めた音」というものがあるとすれば、こういう音なのではないかと思った。

…とはいえ、いろんな作曲家の作品をざっと聴いてみただけなので、まだ本当のところはつかみ切れてない気がする。もっと聴いてみたいピアニストであることだけは確かだ。


以下、NAXOS で聴いた曲と第一印象。


『ラフマニノフ/ピアノ・ソナタ第1番』


情熱的な第1楽章がいい。第2楽章の静かな語り口にも説得力がある。そして第3楽章のダイナミズムの変化は大曲の趣。それほど聴き覚えのある曲ではないものの、こんなにいい曲だったっけ?…というのが正直な感想。


『ブラームス:6つの小品』


タイトルに入ってないバッハの "English Suite No. 2 in A Minor, BWV 807" とシューベルトの "4 Impromptus, Op. 142" を聴いたが、どちらもやや個性的かもしれないがいい感じだ。ロマン派はこのピアニストにあっているのかも。


上の2枚を含む10数枚はいずれも日本のレーベル「ALMレコード(コジマ録音)」から出ている。そして NAXOS レーベルから次の3枚が出ている。


スクリャービン:前奏曲集 1 (ザラフィアンツ)


スクリャービン:前奏曲全集第2集


YouTube のスクリャービン(前奏曲)がきれいだったので聴いてみたが、なかなかいい感じ。…なのだが、同じような曲も多いので途中でちょっと飽きたかも。「全集」として音源的な価値はありそうだ。ちなみに収録曲は下記。

SCRIABIN: Preludes, Vol. 1

Prelude in B Major, Op. 2, No. 2
Prelude for the Left Hand in C-Sharp Minor, Op. 9, No. 1
24 Preludes, Op. 11
6 Preludes, Op. 13
5 Preludes, Op. 15
5 Preludes, Op. 16
7 Preludes, Op. 17

SCRIABIN: Preludes, Vol. 2

4 Preludes, Op. 22
2 Preludes, Op. 27
4 Preludes, Op. 31
4 Preludes, Op. 33
3 Preludes, Op. 35
4 Preludes, Op. 37
4 Preludes, Op. 39
Prelude in E-Flat Major, Op. 45: III. Andante
4 Preludes, Op. 48
Prelude in F Major, Op. 49: II. Bruscamente irato
Prelude in A Minor, Op. 51: II. Lugubre
Prelude in E-Flat Minor, Op. 56: I. Violent, tres accentue
Prelude Op. 59, No. 2: Sauvage, belliqueux
2 Preludes, Op. 67
5 Preludes, Op. 74

Julian Scriabin *
4 Preludes

* 11歳で夭折したスクリャービンの息子


D.スカルラッティ:鍵盤のためのソナタ曲集 6(ザラフィアンツ)


NAXOS が様々なピアニストによるスカルラッティのソナタ全集を出している(継続中)中の1枚。YouTube に上がっているのはここからの音源だと思われる。収録曲は下記。

E major, K. 135/L.224/P.234
A major, K.429/L.132/P.132
D major, K. 478/L.12/P.503
G major, K. 169/L.331/P.247
G major, K.259/L.103/P.469
C major, K. 502/L.3/P.408
F major, K. 419/L.279/P.524
F minor, K.19/L.383/P.75
B flat major, K. 112/L.298/P.94
E flat major, K. 123/L.111/P.180
F major, K. 274/L.297/P.491
A major, K. 405/L.43/P.436
F sharp major, K.318/L.31/P.302
F sharp minor, K. 67/L.32/P.125
C sharp minor, K.247/L.256/P.297
G major, K. 63/L.84/P.32



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