「衝撃のロ短調ソナタ カナダの国宝級巨匠」
と書いてあるが…。
✏️アンドレ・ラプラント 2018年4月来日ツアー全日程
(C)Peter Schaff |
アンドレ・ラプラント(André Laplante)はケベック出身のカナダのピアニスト。27歳のとき(1978年)に、チャイコフスキー国際コンクールで第2位(このときの1位はプレトニョフ)となり注目を浴びた。この入賞直後に来日していて、今回40年ぶりということなので今67歳くらいということになる。
今回の来日は、2015年のショパン国際ピアノコンクールで2位となったシャルル・リシャール=アムランの先生ということが一つのきっかけになったのかも知れない。
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で「衝撃のロ短調ソナタ(リスト)」という触れ込みなので、まずこれを聴いてみた。
♪ Liszt - Piano Sonata in B minor, S. 178 (1854) [André Laplante]
印象としては、最近流行り?のガンガン弾くリストではなく、あくまでも音楽的ですべての音がちゃんと聴こえてくる、という落ち着き(巨匠らしさ?)のようなものを感じる。
実はこのソナタ、あまり好きな曲ではなかったのだが、こういう演奏で聴くとちょっといい感じだ。全体的な柔らかさ、ゆっくりしたテンポの箇所の美しさ、まろやかな和音など好みかもしれない。
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次に、私の好きなラヴェル(「鏡」)があったので聴いてみた。
♪ Ravel - André Laplante (1994) Miroirs
ことらも全体にまろやかで、私のラヴェルのイメージとはちょっと違うのだが、聴いているうちに「これもありかも ♪」と思い始めた。
第3曲の「海原の小舟」はもう少しキラキラした方が好きだが、逆に大きくうねる波の感じも、それはそれで一つの解釈としてあり得ると思った。
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もう一つ聴いたのが、ブラームスのピアノソナタ第3番。この曲もそれほど好みの曲ではないのだが、このピアニストとの相性がよさそうなので聴いてみた。
♪ Brahms - André Laplante (1995 ) Piano Sonata No.3, Op.5
思った通り、ややゆっくりなテンポ、落ち着いた印象がいい感じだ。とくに第2楽章の "Andante espressivo" は美しい。ただ、個人的にはもう少し速い方が好きかも…。
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全体の印象としては「巨匠」と言われる通り「本格派」の落ち着きを感じる演奏だと思った。逆にいうと、今「流行り」(コンテンポラリー?)の弾き方とは少し距離があるのかもしれない。
豊かなピアノの音、決して尖らない、柔らかく包み込むような音楽のうねり、といった感じが心地よくて、わりと好きな演奏である。
ただ、曲によってはもう一つ「インパクト」のようなものが欲しいという印象もある。
昨日の記事に書いたダヴィッド・フレイが「たおやかな」で、今回のアンドレ・ラプラントが「まろやかな」で、少し柔らかめのピアニストが続いている…(^^)♪
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はじめてコメントさせていただきます。
返信削除ぺヌティエの演奏はご存知ですか?彼も柔らかめのピアニストですが、(若い頃は現代音楽に主軸を置いていたそうで、ソリストとして注目され始めたのは今世紀に入ってからです) 彼の奏でるフォーレやシューベルトは絶品です。ピアノカレンダーにもありますように、日本でのリサイタルはトッパンホールとラフォルジュルネだけですが、CDも出ています。比較的手に入りやすいのはフォーレ、シューベルトのソナタ、モーツァルトの協奏曲あたりです。ぜひ聴いてみてください。それにしても「この演奏家いいよ」というコメントに素直に聴いてみようと思われるところが立派ですね。私も壁を作らずにまずは受け入れて聴いてみる姿勢を見習わなければ。。
マルトノさん、おはようございます。
返信削除コメント、ありがとうございます。
ぺヌティエは最近は聴いてませんが、なんとなく柔らかい演奏というイメージはあります。NAXOSあたりで探してみます。
ちなみに、勧められた演奏家を聴いてみようと思うのは、素直というより、私自身ピアニストとかピアノ曲をあまり知らないというのが一番大きな理由です。あと、性分として「知りたがり」というのがあるのかも知れません…(^^;)。