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2018年2月11日日曜日

イノン・バルナタン:現代ピアノ曲の演奏に魅力 ♪

昨日の《What's New▼ぴあの一言》のニュースでちょっとご紹介したイノン・バルナタン(Inon Barnatan)を聴いてみた。個人的には、何だかよく分からない印象だ。

上手いとは思うのだが、ラヴェルなんかはどうかな?という感じ。かと思うとトーマス・アデスの "Darknesse Visible" という曲はとても良かったりする。コンチェルトや室内楽(伴奏)はいい感じだと思う。現代ピアノ曲には期待できるのかも…。

Inon Barnatan © Marco Borggreve


プロフィール、日本語ではヒラサ・オフィスのプロフィールが詳しい。以下要約。

イノン・バルナタン(Inon Barnatan)は1979年、テルアビブに生まれ。ロンドンの王立音楽院のクリストファー・エルトンに師事。その後、今日に至るまでレオン・フライシャーの薫陶を受けている。2006年以降、ニューヨークを拠点として活躍。

ニューヨーク・フィルハーモニックの初代アーティスト・イン・アソシエーション。エイヴリー・フィッシャー・キャリア賞を受賞。リンカーン・センター室内楽協会のメンバーであり、チェロ奏者アリサ・ワイラースタインのリサイタル・パートナー。

ソロ・アルバム "Darknesse Visible" はニューヨーク・タイムズ紙の「ベスト・オヴ2012」の1枚に選ばれた。

日本へは、2016年1月にアラン・ギルバート指揮/都響の演奏会にソリストとして招かれ、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を演奏。2017年4月にも東京と大阪でラフマニノフのパガニーニ狂詩曲を共演。今年は6月に来日し以下の公演を予定している。

■6月16日:群馬音楽センター/群馬交響楽団
■6月17日:太田市民会館/群馬交響楽団
■6月22日〜24日:兵庫県立芸術文化センター /兵庫芸術文化センター管弦楽団
■6月26日:トッパンホール(リサイタル)

リサイタルのプログラムは、ドビュッシー:ベルガマスク組曲、アデス:ダークネス・ヴィジブル、ラヴェル:夜のガスパール、ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》。


ちなみに、バルナタンが "La Jolla’s SummerFest"(ラホヤ夏の音楽祭?)の芸術監督に決まったというニュースは "La Jolla Music Society" のサイトに詳しく載っている。

✏️Inon Barnatan announced as SummerFest Music Director

"La Jolla’s SummerFest" は室内楽の音楽祭のようで、2017年の内容はここ→"La Jolla Music Society’s SummerFest 2017" に載っている。出演ピアニストはこんな(↓)感じ。バルナタンはもちろん、オッリ・ムストネンとかハオチェン・チャンの名前もある。

Inon Barnatan
Olga Kern
Olli Mustonen
Christina Naughton
Michelle Naughton
Jon Kimura Parker
Gilles Vonsattel
Shai Wosner
Haochen Zhang


さて、イノン・バルナタンの演奏だが、まず YouTube で聴いた私の印象。


 Inon Barnatan plays Schubert sonata in C minor D.958, mvt. Imvt. II mvt. III mvt. IV

シューベルトのピアノソナタ第19番ハ短調、悪くはないのだけれど、何だか面白くない。


 Inon Barnatan: Beethoven Sonata No 6 in F Major, Op 10, No 2

一生懸命に弾いているが、これも申し訳ないがひき込まれるものを感じない。ちなみに、たまたま関連動画にあったジョージ・リーの演奏を聴いてみたがこちらの方がいい♪

 George Li plays Beethoven - Piano Sonata no. 6 in F Major op.10 no. 2


Inon Barnatan - DARKNESSE VISIBLE: Scarbo

ラヴェルの「スカルボ」、ピアノを「弾いている」感じが前面に出ていて「奥行き」というか「詩情」のようなものをあまり感じなかった。ピアノを上手に弾いているけど、機械的というのでもないのだけれど…、まぁ、要するに好みではない…(^^;)?


Inon Barnatan / Beethoven concerto no.4, First mvt. Part 1/2

 Inon Barnatan / Beethoven concerto no.4, Finale

YouTube の中では結局これが一番のお気に入りの演奏…だったのだが、私の好きなベートーヴェンだからなのか、スイス・ロマンド管弦楽団の演奏が良かったのかは不明…。


なんとなく落ち着かない気持ち?で、NAXOS を探してみたら、チェロ奏者アリサ・ワイラースタインとの二重奏があったので聴いてみた。

Chopin/Rachmaninov: Cello Sonatas



これは、なかなかいい ♪ ショパンもラフマニノフもアンサンブルが見事だ。


もう一つ、ニューヨーク・タイムズ紙の「ベスト・オヴ2012」の1枚に選ばれたというCD(↓)があったので、これも全曲聴いてみた。

Darknesse Visible



これは、曲によって印象がかなり分かれた。

まず良かったのはトーマス・アデス(Thomas Adès)の "Darknesse Visible"。初めて聴く「現代曲」であったが、素晴らしく美しい。YouTube で一部(↓)聴くことができる。

 Inon Barnatan - DARKNESSE VISIBLE

解説によると、ジョン・ミルトンの「失楽園」からの一節(‘Yet from those flames/No light, but rather darkness visible’)と、ジョン・ダウランドの歌(In darknesse let me dwell)(↓)にインスパイアされた曲だそうだ。

 Dowland, In Darkness Let Me Dwell / Michael Chance - Paul Beier


それから、ドビュッシーのベルガマスク組曲もまずまずいいと思った。

問題はラヴェル。「夜のガスパール」が、何というかきれいすぎて、オンディーヌも絞首台も何だか明るいし、スカルボも節度のある美しい曲に聴こえてしまう。「悪戯好きの妖精」はどこに行った?という感じ。まぁ、これもあり、解釈・好みの問題かもしれない。

"La Valse" も似たような印象。

…ということで、今のところ何だかよく分からないピアニストである。曲によるのだろう。嫌いなタイプのピアニストではないが、この曲(作曲家)ならイノン・バルナタン!というのが見つからない…。とりあえず、判断保留…かな…(^^;)?


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