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2015年4月3日金曜日

ピアノ練習にもティッピング・ポイントはあるのか?

ちょっと前に話題になった…と書いてからネットで確認したら15年も前の本だった…(^^;)! 『ティッピング・ポイント』という本、現役時代に読んだ記憶はあるが、内容は覚えてない。


Amazonサイトの商品説明にはこう書いてある。

「あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間」。これが大きな話題を呼んだティッピング・ポイントの内容である。売れなかったモノが爆発的に売れたり、犯罪率が著しく増減したりといった謎の多い現象を解明しようとしたのが本書である。


「ティッピング・ポイント」というのは、「臨界点」とか「閾値(しきいち)」とも呼ばれるものである。もともとは(たぶん)科学用語で、例えば、水の温度を上げていくと、100℃あたりで突然気体(水蒸気)に変化する、この変化点がティッピング・ポイントである。上の本は、それを社会現象に当てはめたもの。

…そういう難しい話をするつもりではなく、ピアノの練習の話である。


バッハのフランス組曲の「アルマンド」を練習していて、気がついたことがある。それは、ある日とつぜん「弾けるようになった」こと。実際には、弾けるようにはなっていないのだが、「弾ける」ような感覚が急に感じられるようになったのだ。

一日前までは、部分練習をくり返し四苦八苦していたのだが、その日は、なんとなく通して弾けそうな気になったのだ。引っかかり弾き直しながら進んでいるのだが、その気になれば止まらずに弾けそうな感覚を持ったのだ。

もう一つの変化は、表情をつけてみようと思えたこと。ここ、もう少しクレッシェンドしてみようかなとか、ここは少し音を切ってみようかな、とか…。要するに、一日前とは何か基本的なところが変化したような気がしたのである。これはなに?


で、ふと頭に浮かんだのが「ティッピング・ポイント」という言葉。

それまでに練習したことの積み重ねが、ある一定量に達し、私の状態(練習している曲に対する技術レベルのようなもの?)が一段階上がった、のではないか、と思ったのだ。そして、そこからが本当の練習かもしれない、とも思う。


思い返してみると、それが起きた日の数日前にやっと暗譜ができたのだった。なので、暗譜というか、曲全体をある程度把握できていることも「ティッピング・ポイント」の条件になっているのかもしれない。

こういう経験は、この「アルマンド」以前にもあったような気がする。ある段階から、練習の中心が自然に「通し練習」に移るタイミングが間違いなくあったのだ。


しかし、私の興味は「ティッピング・ポイント」みたいなものがあるかどうか、それは何かということではない。

そういうものはたぶん存在していて、問題は、その「段階」に至るのには何が必要かということ、そしてできるだけ早くその「段階」に達するにはどういう練習方法が効果的なのか、ということである。

私の場合、一つの条件は「暗譜」であることはほぼ間違いない。

あとは、普通に考えられることとしては「指が覚える」こと。それから「練習量」(=時間?)。曲の基本的な造り(音型や全体の構成)が頭に入っていることも条件になっているかもしれない。これは試してみるしかない。


…ということで、いま練習中のベートーヴェンのソナタでいくつかトライしてみることにしようと思う。

  1. ピアノを弾いていないときにも暗譜と曲の把握の努力をする
  2. 指使いの確定を早くする(楽な形もできるだけ早く決める)
  3. 練習の中では「指で覚える」努力を意識して行う

練習の量(時間)については増やさずに、その質(中身)を上げる・濃くすることで何とかならないかと思うのだ。まぁ、やってみてダメなら別の方法を考えればよい。まずは1カ月ほどトライ!である。



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