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2015年2月4日水曜日

シャンドール ピアノ教本10:音楽の句読法

音楽の句読法を考える上で重要なのは、音楽の中には重要な音とそうでない音があること、ピアノの音はすぐに減衰してしまうという楽器の本性をよく理解しておくことである。

装飾的な音は控えめな音量で弾くことが基本であるが、アッポジャトゥーラ(前打音)や不協和のグレース・ノートは強調されねばならず、音楽にスパイスを添える。重い拍に注意を向けさせ、非和声音を効果的に扱うことを我々は覚えなければならない。

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『シャンドール ピアノ教本―身体・音・表現』 読書メモ
 ジョルジ シャンドール 著、岡田 暁生 監訳(春秋社、2005/2/1)
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 第3部 技術は音楽になる

※数字はページ番号、赤字は私のマーク



第16章 音楽の句読法


267
音楽を用いて事実や観念を伝えることはできない…。音楽にできるのは、気分 - 諸々の事実や観念に付随する感情反応 - を生じさせたり、伝達したりすることだけである。

268
記譜法は未発達である

269
音楽の中では比較的重要な音とそうでない音がある

270
ピアノにおける音楽の句読法を考える上で最も重要なのは、…音はすぐに減衰してしまうというピアノの音の本性をよく理解しておくことである。…もし小節の一拍目から二拍目へ音楽がきちんと流れるように弾きたければ、…裏拍(二拍目)の音は表拍よりも小さく、つまりすでに減衰している表拍の音量よりもさらに小さく、弾かねばならないのだ。

274〜
装飾的なパッセージは控えめな音量で

フィオリトゥーラ(Fioritura:旋律線の装飾)の役割は、主要な音と音をつなげて浮き上がらせること…。控えめで柔軟に弾かれるべき…。

アッポジャトゥーラ(Appoggiatura:前打音)は後続の音に解決する不協和音であり、…常に強調すべきものである。

277
協和音のグレース・ノート(装飾音などに用いる小音符)は決して強調してはならない。表拍で低音と同時に弾かれるべきである…。しかし…、グレース・ノートの役割は、後続の主要な音の出だしをわずかに遅らせることで、その音に注意を向けさせることである。…グレース・ノートは主要な音よりもかなり弱く弾かねばならない。そしてさらに重要なのは、主要な音は記譜された音価分だけきっちりと延ばさなければならない

279
不協和なグレース・ノートは、アッポジャトゥーラと同じ要領で、やはり拍点の上で演奏される。それは強調されねばならず、音楽にスパイスを添えるが、強調の度合いは演奏者の判断に委ねられている。

280
二つのタイプのグレース・ノート。拍に属するグレース・ノートには普通、次の音に結びつけるスラーが記されている。他方、二つの音を連結するグレース・ノートには普通はスラーがなく、時には小節線の前に音が記されることもある。前者のタイプが拍点の上で演奏されるのに対して、後者…は拍の間で演奏される。

282
音楽の句読法には、一目瞭然なものもあれば、説明しがたいものもある。まさにそれゆえに我々は、自分自身の音楽の語り方というものを組み立てることができるのだ。重い拍に注意を向けさせ、非和声音を効果的に扱うことを我々は覚えなければならない

補助的な音符は控えめに弾く。…協和音のグレース・ノート、裏拍の音型、裏拍から始まるパッセージ、付点付き音型の中の短い音符、小さく印刷された音符、つなぎの音符、不協和音の解決音、伴奏音型一般、主要な音に流れ込むアルペジオ音型などがある。

緊張と解放の交替は、不協和音と協和音、テンポの緩急、強弱の大小、アッチェレランドとリタルダンド、クレッシェンドとディミヌエンド、対位法とホモフォニー、規則的なリズムと不規則なリズム、シンメトリーと非シンメトリー等によって作り出される。

286
音楽とは「変動する音高/音量/音色の中にある運動」のこと…。音楽の運動的な性格を表現するとすれば、「歌うこと」というよりも、むしろ「呼吸すること」と言うべきであろう。

293
スラーは音の結合を示すものであって、フレーズの終わりを除いては、スラーの終わりでいちいち音を切らない。…弦楽器奏者は…全力を尽くして、ボーイングの返しを目立たせないようにしているのだ。


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