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2014年3月19日水曜日

絵心から音楽の心を学ぶ:イマジネーションの力

珍しく絵(美術)の本を読んだ。『芸術を創る脳』を読んだときに、千住博さんの「なぜ絵画は美しいのか」の章が一番面白かったので、千住博さんの軽い本を読んでみようと思ったのがきっかけである。

『絵を描く悦び』という新書で、「千住博の美術の授業」というサブタイトルがついている。





音楽やピアノとはあまり関係ないか、と思って読んだのだが、少し参考になるところもあったので書いてみる。


クリエーションは技術、大事なのはイマジネーション

クリエーション=創造だと思っていたのだが、芸術家からみるとそれは技術にすぎず、大事なのは「イマジネーション(想像力)」なのだそうだ。

絵は見えるものを描くのではなく、見えないものを描く。見る人が「何で今までこんな絵がなかったんだろう」と思うような、切り口の新鮮さが重要だという。

そして音楽についても同様のことを述べている。「聞こえない音を音にする。ああそうだ、これだ、なんで今までこんな音がなかったんだろう。」いい言葉だと思う。


普通が一番、個性は自ずから出るもの

他人と違うものを出そう、作ろうとしてできたものはあまり良くないことが多い。自然なもの、多くの人が「人間にとっての普遍性」を感じるものでなければ、芸術作品として後世に残ることは難しい、と言う。

たしかに、ピアノの演奏でも奇をてらったものは最初は面白いが、すぐに飽きてしまう。同じ曲でも「こんな音(響き)がするのか!」と感動する演奏は「自然」に感じられることが多い。


妹のヴァイオリニスト(千住真理子さん)の言葉

何も感情を持たないで弦を弾くと、ぶーという弦と弓がこすれる音がするだけ。でも、深い悲しみを弾こうと思うと、深い悲しみの音がする。大きな喜びをと思って弾くとそういう音に聞こえる。‥そのくらい人間のイマジネーションというものは表現に密接にかかわってくる。そして、それは伝わっていく。

これはピアノの演奏でも同じだと思う。ただ、ヴァイオリンの場合、弾き始めてから表情をつけられるという利点はあると思うので、ピアノの方がより難しいのかもしれない。


その他(気になった言葉、読んでみようかと思った本)

・世阿弥『花鏡』
 「目前心後」:演じている自分を離れて見るもう一人の自分が表現者には絶対に必要である

・紀貫之『新撰和歌集』
 「花実相兼」:内容と表現が一致したときに完璧な作品が生まれる

・安田章生『日本の芸術論』



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