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2014年1月21日火曜日

「ショパンのピアニスム」:第1章 ピアノ技法の原理(その1)

●出典:『ショパンのピアニスム―その演奏美学をさぐる』

 第1章 ピアノ技法の原理

●概要&感想

この本は、第1章が全体の概要・要約、第2章から第7章がその詳細な説明になっている。前回書いたように、「詳細」はレベルが高いので、第1章のサマリのみのノートとしたい。

まず最初に、この本の基本的な視点が述べてある。


即興的にピアノを弾くことを好んだショパンの作品は、彼の完全な即興演奏のひとつの例とさえいわれている。このことは、ショパンの音楽においては、創作と演奏が密接な関連をもっていたことを示している。


このような観点から、ショパンがどう弾いたか、生徒にどういう指導をしたかということと、作品そのものとの関連を解き明かされる。ショパン独特の音楽がどうやって生まれたかということから、彼の作品をどう解釈しどう演奏すべきか、といったことが、多くの観点から語られている。


その際、非常に多くの譜例が取り上げられ具体的に検証される。そのなかでとくに興味深いのが、ショパンの自筆譜とショパンが生徒に教えたときの書き込みである。自筆譜には当然ながら推敲のあとが残っている。結構、書き直して黒々と消してある箇所も見られる。ピアノやフォルテの指定や、ペダルの位置の指定なども、かなり修正されており興味深い。また、生徒の楽譜への書き込みは、通常の楽譜には書かないような、イメージ的な線や弧(スラー)が書かれていて、これも面白い。


範囲は下記の14項にわたる。

(1) 手の位置
(2) 座り方と構え、5指練習、タッチの柔軟性と指の独立性手の位置
(3) 音階とアルペッジョ
(4) 黒鍵の利用
(5) 運指法
(6) レガート奏法とタッチの多様性
(7) ベル・カントとカンタービレ
(8) 装飾法
(9) 鍵盤からのインスピレーション、パッセージ・ワーク、音の舞
(10) テンポ・ルバート
(11) フレージング
(12) ショパンと楽器
(13) ペダリング
(14) デュナミークと表現様式


次回から、これらを2回に分けて簡単に読書メモをご紹介したい。



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