聴いたときに、グッときたり、思わず引き込まれたり…。いい演奏を聴くと本当に気分がよくなる。そういう経験の積み重ねが、「お気に入り」の作曲家や演奏家につながる。「お気に入り」になる・ならないは、何が違うのだろう?
「音楽」となると幅が広くなるので、いい「演奏」とはどんな演奏なのか、を考えてみたい。
「いいなぁ」と感じるとき、何がいいと思っているのか、思いつくままにあげてみると…。
①ピアノの音・音響
粒立ちのいい音の連なり、「真珠を転がした」ような軽やかな音、重厚な和音の響き、キラキラした音の塊、空間に消えていく余韻、等々。
②メロディ
いつ聴いても「いいなぁ」と思うメロディというのがある。ショパンのノクターンやベートーヴェンのソナタ8番の第2楽章など。
③フレージング?
強弱や緩急、クレッシェンドやディミヌエンド、聴き手の気持ちと同期した盛り上がり、ダイナミクス、等々。
④ノリ?
ジャズで言う「スウィング感」や「ビート感」のようなもののクラシック音楽版。例えば、ワルツなどの舞曲での機械的ではない拍子感。ヴィルトゥオーゾ的なノリも含まれるかも。
⑤表現しようとする気持ち?
弾き手が何かを表現しようとする、その結果表れる音楽のいろんな様相。全体的な何か…。うまく言えないが、作品を解釈し、自分なりの何かを表現しようとしたときに出てくる音楽そのもの。音楽の構成であったり、細部のわずかな揺らぎであったり…。
…と書いてきてみたが、やっぱりよく分からない。直接的には、①の「音」なんだろうと思うのだが。
しかし、以前聴いた、ある日本人ピアニストによるショパンは、しっかりした音でショパンの美しい(はずの)メロディを奏でていた。なのに、申し訳ないが、とてもつまらなかった。
③④あたりの問題かもしれない。でも、聴き終わったときに感じたのは、⑤の欠如であった。「このピアニスト、この曲好きじゃないんじゃないの?」と思った。
⑤を補足すると、演奏家自身がその曲を気に入っていて、心から楽しんで、曲に入り込まないと、聴き手に伝わるいい演奏にはならないのでは?ということである。
…つづく(たぶん)…
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