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2016年7月27日水曜日

ピアノ「対称練習法」で左手を強化する♪

少し前に見つけたピアノの練習法で「対称練習法」("symmetrical inversion")というのが気になっていた。自分の練習に少し取り入れてみようと思っている。

一番の理由は、右手と左手とで左右対称の形で練習すると、より器用な右手(右利きの場合)につられて左手の上達が早くなる、というのが科学的に正しい、つまり効果があるような気がしたからだ。

もう一つ、ヴィルトゥオーゾとして有名なマルク=アンドレ・アムラン(マルカンドレ・アムラン)や、かのホロヴィッツも、同じような練習を採り入れているというのも、やってみようと思った理由である。


その練習法をご紹介する前に、「対称練習法」とは何かを、簡単に説明してみる(私が理解した範囲で)。

「対称練習法」とは


ひと言でいうと「右手と左手とで左右対称に弾く練習法」である。

ピアノ鍵盤の配列(白鍵・黒鍵の形)は、D または A♭を中心にして左右対称になっている(下図)。これを利用して、左右対称の指使いで練習するというものである。

なお白鍵だけの場合、音程の関係を無視すれば、指使いとしては中心はどこでもよいことになる。



簡単な例(↓)。Piano Lesson Hint から借用。



難しい例(↓)。後述の論文から借用。



「対称練習法」の効果


その効果は、基本的には「左手にとって難しい箇所を、対称的な右手と一緒に練習することにより、右手の動きにつられながら、左手の機能を向上させる」ことができるということになる。

「ピアノ演奏技巧と脳機能を発達させる対称的練習法」という論文(山口雅敏氏)には、もう少し難しく(学術的、かつ高度な内容で?)書かれている。(※この論文は現在リンク切れになっている)

「対称的練習法は、人の持って生まれた左右対称という、最も自然な生理機能を利用した訓練法である。対称的(鏡的)に音を反転させて練習することは、脳と左右の指、手を自然な状態で発達させられる効用をもたらす。特に、体得し難い左手への技巧訓練に役立つのである」

本当の趣旨は、ピアノの高度な技術は「指の訓練ではなく頭脳(中枢神経)の訓練」であり、頭脳の訓練には「対称練習法」が効果的である、ということらしい。…が、これ以上は難しくなるので割愛する。


ルドルフ・ガンツによる練習曲集


上記論文には「対称練習法」の好例として、ルドルフ・ガンツ(1877-1972、スイス出身のピアニスト・指揮者・ 作曲家)による練習曲集「Exercises-Contemporary and Special」が登場する。

私には難しすぎて使えそうもないが、興味のある方は上のリンクからどうぞ。

ちなみに、ルドルフ・ガンツは、ラヴェルがピアノ組曲「夜のガスパール」の第3曲 "スカルボ" を献呈した相手だそうだ。


私の対称練習方法(アルペジオ)


まぁ、ここまで読まれた方はすでに想像がついているかもしれないが、一応私がやろうとしている練習方法を書いておく。

ラフマニノフの「楽興の時」の Op.16-5 は、こんな感じ(↓)で3連符の左手伴奏が全曲を通して続く。



この左手のパタンを A♭を中心に左右反転したものを右手パートに書いた楽譜がこれ(↓)。



音の組み合わせは他にもあるので、それは随時ヴァリエーションとして追加予定だ。これで苦手克服!ということになるといいのだが…♪


おまけ。最後にアムランが対称練習法をちょっとだけ解説した動画をご紹介。

来日した時の日本のTV特集のようだ。4分ちょっと前から2分間弱の短い説明だが、やはり実演には説得力がある。

♪ Marc-André Hamelin - Supervirtuoso Documentary Part 5/10


ちなみに、この動画には他にも面白いものがいろいろ入っている。右手と左手を入れ替えた「編曲」とか、ショパンのエチュード3曲を合成?したトリプル・エチュードとか、カプースチンとか…。



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